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| つむぎ論壇 > 実践的コミュニティービジネス・NPO論 |
平成13年度から15年度まで茨城県商工労働部に在職しておりましたが、 コミュニティービジネス(いわば、まちの創業、市民起業)や NPO(いわば、社会起業)に注目し、これらの振興や政策的連携を試行してきました。 その意図は、このようなまちの創業、市民起業家や社会起業家を増やし、 地域的な連携ネットワークを密にしていくことが、地域を元気にするのではないか、 また、産業活性化のための新しい担い手になりうるのではないかということでした。
この3年間で、コミュニティービジネスやNPOの存在感と役割は、 茨城においても大きくなったという実感をもっています。 内閣府の報告書をみると、NPO等の設立の急速な伸びや自治体の連携の開始は、 多くが平成13年度前後となっており、これは、全国的な動向でもあるわけです。
これらを振り返り、何が起こりつつあるのか、どう発展させていくか、 実践的な観点から私見を述べたいと思います。
NPOやコミュニティービジネスについて、商工政策の中でとりあげようと思ったのは、 シニアSOHO普及サロン三鷹の堀池代表理事や 地域通貨の提唱者の関東経済産業局加藤敏春総務企画部長(当時)との議論や著作を通じてです。 加藤さんの「マイクロビジネス」(講談社アルファー新書)は、 商業流通課(当時)のコミュニティービジネス振興を考えるに当っての教科書でした。 昨年、シニアSOHOは、日経地域情報化大賞を受賞し、堀池さんは、 内閣府の地域産業起こしに燃える人33人に選ばれています。
シニアSOHOの活動は、加藤さん(三鷹にお住まい)の応援のもと、 関東経済産業局の助成を受けたことが立ち上げの大きな原動力になりました。 初期における行政の支援策が如何に有効かの例になっています。 福祉介護系がNPOの6割を占める中で、産業支援型NPOは、当時としては先駆け的な存在でした。 (平成15年5月法改正により、NPOの活動範囲に経済活性化等が入る)。
堀池さんは、日立製作所OBで、17年間日立にお住まいだった縁で、 日立地域におけるNPO立ち上げのために、月に何度か、茨城にお越しになっていました。 コミュニティーネット日立やひたちなか市のNPOなかなかワークは、 堀池さんとその賛同者の方々が立ち上げたものです。
話は変わって、水戸でのストロング40‘sという交流会の話になります。 「団塊の世代は、社会の既存の価値を疑い、破壊してきた、 20代は、ミーイズムに染まっている、我々40代は、 くたびれてきた経済社会・コミュニティーを再生・創造していこうじゃないか」という 勝手な理屈をこねて始めた集まりです。会社や商店の経営者が多かったのですが、 大学の先生や商工団体の職員など多彩な顔ぶれで、 マスコミ関係も入れて、それぞれの活動を取材してもらいました。
その会では、若手経営者の方々の地域への思いとその実行力には、感銘を受けました。 この際、実名でご紹介します。まずは、NPO経営品質協議会の鬼沢さん、 水戸の若手経営者の精神・実践ともにリーダー役です。 NPO雇用人材協会の磯崎さんや幡谷さん、 NPOGIS総合研究所茨城とNPO茨城の暮らしと景観を培う会の三上さん、 6年間月一の那珂湊のナイトバザールを一度も欠かさず、各地の商店街に刺激を与えてきた小山田さんや橋本さん、 ひたちなかのNPOなかなかワークと平成水戸塾の小泉さん、 バイオツール協同組合はじめバイオ、半導体等々で産学官連携のしくみを作ってきた茨城大学大学院の高妻さん、 蔵良々の会や地域のスローフードの提案をされてきた木内兄弟、これらの活動をうまく支え、 つくばとの橋渡しをされてきた関さん等々。 最近では、水戸の人づくりのための平成弘道館やオセロ国際大会招致運動も手がけられています。 この2年くらいで、この会は、ひとり一NPO設立といった様相を呈しています。
彼らに刺激されてのこともあり、私自身、今年6月に有志に呼びかけて、 NPO法人「つむぎつくば」(内閣府に認証申請中)を設立しました。 つくばにおける産学官・金融連携、ベンチャー支援、まちの活性化のための活動を開始しましたが、 自らの活動だけではなく、さまざまな団体の活動を紡ぎ、 紬という織物にしていくことを目指しています。(http://www.tsumugi.org/)
具体的な施策に関しては、商店街活性化のためのコミュニティービジネス振興について、ご紹介します。 まずは、まちの創業シンポジウムなどいろいろなセミナーやシンポジウムです。 また、月一各地で行った商店街地域活性化懇談会で、御歴々のなかに努めてNPOや市民起業家を取り上げ、 彼らを地域で認知してもらおうとしました。さらに、地域の活動をつなぎ、刺激し、波及していくため、 まちの活性化ネットワーキングを開始しました。そして、つまるところ、 チャレンジする場所を地域で作ることが最も効果的ではないかということで始めたのが、 アンテナショップ研究会。茨城での先駆けは古河のTMO雪華の活動ですが、どんどん増えて、 3年で10以上の市町村でアンテナショップやSOHOが設けられたかと思います、 SOHO土浦などは、樽見室長の下、その熱意に頭が下がる思いでした。
このような経験から、いくつかの仮説と提言を提起したいと思います。
コミュニティービジネスもNPOも、 社会や地域への思いや情熱(いわば地域に根ざした志)を自己実現していこうという個人の動機から始まり、 同様の志を持った個人を通じて他の地域へと伝染・波及していく。 他方、大企業にも社会的責任(CSR)が求められるようになっており、 このような流れ(ビジネスの社会化、社会活動のビジネス化)は、今後も大きくなっていくにちがい。
行政や産業界は、このような起業家を理解し、連携すること、チャレンジする場の提供し、 さらには、この動きの原動力ともいうべき起業家精神を育てていくための学校教育・社会教育を整備することが重要である。 さらに、就業者を増やし、失業対策にもなることから、雇用対策の中にプログラムを組み込んでいくべき。
特に、NPOの活動については、個人的なつながりを持ちつつ、 理解する自治体や関係団体の職員の存在が重要である。縦割り業務、中立性や公平性という立場、時にライバル意識から、 これらの活動を敬遠する場合がある。また、NPOの側も行政に批判的なものがあり、いい連携が組めていない。 行政、団体においては、「一職員一NPO参加」を提案したい。行政能力・意欲の向上に結びつき、縦割りの打破につながる。 一方、NPO等からみると、行政職員(OB)の専門知識や管理能力は組織運営にとって貴重である。
将来、三位一体の改革の中で、抜本的な地方行財政改革が迫られるだろう。 行政組織をスリム化するためにも、市民参加を強化するためにも、民間活力を抜本的に導入せざるを得なくなる。 NPOを如何に組み込んでいくか、公的サービスを民間ビジネス化するか、今からその準備を官民双方が始めることが重要で、 特に、大学は、産学官の知恵を結集し、検討する場を提供すべきである。
最後に、上記、加藤さんの著作に加え、町田洋次「社会起業家」(PHP新書)、斉藤槙「社会起業家」(岩波新書)をお勧めします。